今回はプロジェクトマネージャー(以降、PM)やリーダーになった時の心構えをお伝えしようと思います。
初めてPMやリーダーを担当することになったら、やるべきことを覚えるのは当然必要ですが、それだけでなく心構えも合わせて身につけることをオススメします。
なぜなら、自分で作業する仕事の仕方と、メンバーのみなさんに仕事をしてもらい自分はそれを管理・推進する仕事の仕方では、考え方が異なるからです。
毎日の積み重ねが自分の仕事を形成していくので、常に心構えを振り返りながら仕事をすると良い方向に進みやすいと思います。
かくいう私もPMやリーダーになりたての頃は、心構えはあまりなくて困ったことが多々ありましたが、PMやリーダーを20年近く経験を重ねたことで心構えも分かってきて、今は上手くいくことも多くなりました。
私の考えが100%合っているわけではありませんが、自分の立場に当てはめてみて効果がありそうだと思うものがあったら、ぜひ活用してみてください。
仕事の仕方が変われば心構えも変わる
システムエンジニア(以降、SE)やプログラマーの時は、PMやリーダーから仕事を割り当てられ、自分のスキルを活かしてその仕事を期限までに着実にこなすこと、それがミッション(使命・与えられた役割)でした。
一方で、PMやリーダーになると、プロジェクトやチームのミッションがあり、それに向けて品質・コスト・納期を守れるよう調整しながらゴールできるように進めていく必要があります。そのためには、ゴールに至るまでの作業を逆算して分解し、作業に必要なメンバーを集めて体制を作り、きちんと期日までに、お客様と合意した品質のもの(システム、ドキュメント等)を、コスト(予算)をオーバーしないように仕上げる必要があります。
自分自身で仕事をする分には、眼の前の仕事に集中できるので、期日までに求められるものをどう実現するかに注力することができます。
一方で、PMやリーダーは基本的に自分以外の人に作業をしてもらうことになるので、段取りを可視化してメンバーと共有し、予定と実績が乖離してきた時はリカバリー策を考えて実行し、課題やリスクに対してどう対応するか、がポイントになります。
また、PMやリーダーはお客様の担当者との接点になると思いますので、お客様と上手くやり取りしながら、一方でメンバーのみなさんがつまづいているところがないかにアンテナを立て、もしあれば影響が大きくなる前に早めに解決したり方向性を決めて作業が進められる状態にしなければなりません。
従い、自分だけで仕事をする時と、PMやリーダーとなった時の仕事をする時で重要なポイントが変わるので、それに合わせて心構えも変えないと上手くいきません。
初めてリーダーになった時のことを今振り返ると反省すべき点が見えてくる
私は30歳ぐらいの時に、クレジットカード会社の準基幹システムにおけるシステム基盤の運用保守のお仕事をさせていただきました。
入会審査や債権回収などのアプリケーションが動くシステムのインフラからアプリケーションのフレームワークを担当するチームで、その中でも私はフレームワークの担当でした。
そのフレームワークの担当は15人前後いたと記憶していますが、初めてそこそこの人数のリーダーを任されました。
その時は、プロジェクト管理のイロハも分からず、それまでは基本的に自分がプレイヤー(SEやプログラマー)で仕事をしていましたので、当然リーダーとしてきちんとした管理作業ができるわけもなく、担当した2年間ぐらい、色んな方にご迷惑をおかけしました。
今の私が当時のむぅさんに一言アドバイスをするならば、「管理者として、管理の基礎を書籍で学んで、仕事のやり方の変化に合わせて心構えを持っておくと良いよ」です。
当時は、ただ降ってくる仕事をがむしゃらにやっつけるような仕事の仕方をしていて、毎日朝から終電近くまで長時間仕事をしていたのにも関わらず、上手く仕事が回らず、お客様や上の方々は不満を持たれていました。

頑張ったのに報われない仕事って、とても悲しいですよね。。
心構えとしては、大きく2つ、お客様に向けるものと社内に向けるものがあります。
それぞれ見ていきましょう。
お客様に対する心構えは「お客様の立場で考える」「真摯な対応」
お客様とのやりとりをする際の心構えとして重要なことは、お客様の信頼を得ることだと思います。
お客様から信頼を得るためには、
「この人なら安心して仕事を任せられる」
「これからも一緒に仕事をしたい」
と思ってもらえる必要があります。
私がこれまで経験してきた組織・プロジェクトでは、お客様の立場からして困るのは、主に
・こちら(お客様側)の立場を考えず、自分の主張ばかりする人
・こちらからお願いしたり、相談したことに対して、レスポンスがない・遅い人
・ITのことばかりで、業務やシステムについて理解しようとしない人
だと思います。コミュニケーションが取りづらく、仕事がスムーズに進まなくなる人と一緒に仕事したいとは思わない為です。
一方で、逆を返せば、
・お客様の立場を理解し、お客様の視点・考え方でコミュニケーションできる人
・お客様からの連絡や相談に対して、真摯に対応してくれる人
・ITについて詳しくだけでなく、業務やシステム仕様にも詳しい人
このような人はお客様から信頼されやすいと思います。
上記のことを心掛けると、良い結果につながりやすくなると思います。
社内に対する心構えは「売上・利益」「後進育成」「仲間を増やす」
一方、社内に対して目を向けると、会社の目標として「ビジネスを拡大」していく使命があるので、今年度の売上目標(もしくは利益目標)を達成することが一番重要です。
また、今年度だけでなく継続的にビジネスを拡大していくためには、お客様から信頼されて案件を継続的に確保したり拡大できること、より多くの案件をこなしていくために組織の生産性(要員の質と量)を向上させていくことが不可欠です。
つまり、売上目標(もしくは利益目標)を達成し、お客様から信頼され評価が高いこと、且つ後進育成も積極的に行うことが会社にとって重要であり、それを実現した人は評価が高くなる傾向があると思います。
私も組織の管理者(部下の評価をする人)だったことがありまして、評価される人は
・難易度の高いプロジェクトに参画しており、キーマンであること
・自主的にプロジェクトを進めており、手が掛からないこと
・お客様から評価されており、評価者(上司)もその声に対して実感していること
・後進の育成を行っており、組織の底上げに寄与していること
だと感じます。
会社もお客様も自分も嬉しい状態になるので、この状態にできることを心構えとして持っておくべきだと思います。
また、ITプロジェクトでの一番の成功要因は「優秀な人を集められるか」ということです。
そのために、社内で優秀な人と知り合いになって、つながっておくことが有効です。
優秀な人は数カ月、長いと1年以上先までプロジェクトの参画予定(アサイン予定)が決まっていることが多いです。ですので、日頃からその人とやりとりしておくと、いざ予定に空きが出てきたら、自分のチームに参画してもらえるように調整できる可能性が出てきます。
以前勤めていた会社の経営者が「配られたカードでなんとかしろ」(=メンバーがイマイチでも今いる要員でプロジェクトを成功させろ)と言っていました。最終的にはそうせざるを得ない時もありますが、自分ひとりが頑張っても周りが力不足ややる気のない人ばかりだと、自分にしわ寄せが来てしまい、良い仕事はできません。
優秀で尊敬できる人を仲間に引き入れて、楽しく、お客様により貢献できる仕事ができる環境を作っていきましょう。
まとめ
PMやリーダーになった時の心構えとして、
・目標を達成する(品質・納期・コストを守ってゴールする)ために、段取りを可視化し、メンバーが困っていることがあったら即フォローする
・お客様に対しては、自分の立場だけでなくお客様の立場に立って物事を考えコミュニケーションし、真摯に対応する
・社内に対しては、売上・利益の目標達成・拡大、後進育成、仲間を増やすことを心掛ける
これらを意識して仕事を進めると、良い仕事ができ、評価につながっていくと思います。


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